旬どき うまいもの自慢会 みやぎ

アナゴの稚魚を食す

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みなさん、こんにちは。企画課のトミヤです。
早いもので5月も中盤が過ぎてしまいました。陽射しも心地よく、お昼休みの塩釜神社への散歩も楽しく満喫しておりますが、すでに沖縄県は「梅雨入り」したと聞いて日本の広さを改めて感じております。

さて今回のブログのネタは、「アナゴ」です。「まだちょっと旬ではないのでは?」という方。ハイ、その通りですよね。正確にいうと「アナゴの稚魚」です。
「アナゴ」は、鰻と同様に白身魚で脂肪も多く、ビタミン群も豊富で、中でもビタミンA、ビタミンCが含まれています。夏バテ防止にはぴったりの食材で、夏から秋にかけて一番多く獲れて市場に並びます。
「アナゴ」は、「蒲焼き」や「白焼き」はもちろんですが、「天ぷら」にしたりして色々と調理されます。飲食店で食べる際には、ウナギよりもアナゴの方が安価で庶民的な気がします。寿司ネタでも好きな方は多いのではないでしょうか。
「アナゴ」は、「みやぎ・浜の幸12選(宮城県沿岸の四季を通じて旬な味わいをもたらす魚介類)」の中にも選ばれていて、よく知られています。特に砂泥地である松島湾で獲れるアナゴは有名です(この地域ではなぜか「アナゴ」のことを「ハモ」と呼びます)。アナゴが上物であれば、関東へ出荷されると聞きますので江戸前にも負けていません。
今回ご紹介するのは、今しか食べられない「アナゴの稚魚」。かなり珍味だと聞いて、さっそく食べられるところを探すことにしました。

そして、探し当てたお店が「翠松亭(塩竈市海岸通り4-8 TEL 022-362-1777)」 でした。「翠松亭」さんは、何度もブログでお世話になっていますが、塩竈料理を看板に掲げるお店で塩釜仲卸市場に入荷する魚介類を中心に旬の料理を提供しています。

「アナゴの稚魚」の料理があるかどうかを電話で確認すると
「ありますよ!」
ということなので、電話したその日の仕事帰りに立ち寄ることにしました。
 お店の方に伺ったところ、そろそろ入荷の時期も終盤に入っているとのこと。
すぐに来て良かったです!
このアナゴの稚魚のシーズンは、白魚が獲れる時期が終わってからの4月下旬から5月中旬くらいの期間だそうです。

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カウンターに座り、早速注文しました。
「アナゴの稚魚」は、「醤油」と「酢」で食べる2種類がありました。
「どちらにします?」
と聞かれ、迷ったあげくに
「・・・ふたつともお願いします」
と言ってしまいました。やはり旬ですから、の方が良いのでは。今しか食べられないし・・・。

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でてきたのが、これです。
ご覧下さい。透明で細長い姿。アナゴの稚魚の状態をなんと呼ぶかを調べると「レプトケファルス幼生」と言うそうで、なんだか難しい呼び名です。
このような小さな物体が40cm(雄)から1m(雌)位まで大きくなるのかと思うと神秘的だなぁ、と感じたのは一瞬で、すぐにアナゴの稚魚へ箸は動いていました。

まずは、「醤油」にわさびを加えて食べてみます。醤油を少しつけて、口の中へ。
「あれっ」
想像していたほどクセはありません。白魚よりは長く太くて身が厚いせいか、食感がしっかりしていて、醤油をつけた状態でツルツルと口の中へ入っていきます。口の中で噛んで味わうと醤油とわさびとの組合せも抜群に良く、噛むと「甘さ」を感じました。

「お、美味しいですね!」
思わずカウンター向こうにいるお店の方に話かけてしまいました。
 
そして、ここでお酒が登場します。春を迎え暖かくなり、ひさしぶりに飲むお酒、本醸造の生貯蔵酒「ぼとる浦霞」です。日中の気温も上がり暖かい陽射しを身体に受ける季節、自分としては早くに美味しい食材と合わせて飲みたかったお酒です。

さっそく、口の中で食べた余韻があるうちにお酒を注いでひとくち頂きます。
「(いや?、シアワセ!)」
心の中でつぶやきました。「食べて」「飲んで」を繰り返して完食します。

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次に、ふたつ目の「酢」で合わせたものを食べてみます。
こちらは、同じく「アナゴの稚魚」を出汁と酢で合わせ、もみじおろし、あさつき、そして菊の花びらをのせてます。
こちらも一口いただきます。
「!!!」
なるほど「アナゴの稚魚」を酢で食べてみると、「醤油」で食べた時の「甘さ」は感じられず、食感や喉ごしの良さはこちらの方が楽しめました。
 これにもよく冷やされた清涼感あふれる「ぼとる浦霞」は、ぴったりと合いました。

食べ物とお酒で良い組合せが見つかると、その日が人生で最良の日であるかのように感じてしまうのは自分だけではないと思います。美味しいものとの組合せを見つけた瞬間は、至福の時ですね。

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最後にメニューを見せてもらうと、「のれそれ(アナゴの稚魚)刺し」
「のれそれ(アナゴの稚魚)酢」とありました。
 
「『のれそれ』って何ですか」
と尋ねてみると
「西日本の方でアナゴの稚魚の呼び名ですよ」

調べてみると「のれそれ」とは、高知県の方言でアナゴの稚魚をさしていて食べる習慣があるようでした。宮城県では、もともとアナゴは特産地で有名で食べていましたが、アナゴの稚魚の美味しさがわかるようになり、近年になってこの周辺でも食べられるようになってきたとのことです。
改めて「美味しいものに境界線はなく、伝わっていくものだなぁ」と実感です。
今年に食べられるチャンスを逃した方は、是非来年食べてみてください。
それでは、また。