旬どき うまいもの自慢会 みやぎ

近海の旬な魚を探る

みなさん、いかがお過ごしですか?ここ宮城では朝夕と昼との温度差に開きがでてきて、時おり吹く風は秋の気配を感じさせます。全国の天気予報を見ていてもまだまだ暑いところがあり、縦に長い日本列島が北から変化してきている様子を感じとれます。
今回は、塩釜や松島沖周辺で獲れたの魚を紹介させていただきます。第2回目の時に鮪を紹介させていただきましたが、伺った塩釜魚市場の方から

「午後からはこの辺でとれたもののせりもあるんです」

とのこと。話によると近くの漁港の方が漁を終えて午後から塩釜魚市場に水揚げし、せりを行っているようです。
 「今の時期は、近隣にはどんなものが水揚げされるのだろう?」
この時期にあがる地ものの魚に興味が沸き、またまた塩釜魚市場へ向かいました。
 市場に近づくと船着き場に水揚げを行った漁船が並んでいるのがわかりました。時おり吹く風は潮の香りを運び、また、市場の前の海の水面をキラキラと銀色に輝かせてきれいでした。近くの護岸では釣りを楽しんでいてのどかな風景です。
 
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せりは2時頃からということでしたが、少し早めに到着。さっそく水揚げされた魚を見させて頂きました。
 見てすぐにわかったのは、イナダ(出世魚でイナダ → ワラサ → ブリと呼び名も変わります)、鰯(いわし)、アンコウ、アナゴなど、10種類以上の魚がまわりの水槽に分類されていました。
まだ、せりも始まっていないので近くにいる方に伺いました。

 「これらはどのような漁で獲るのですか?」 
 「刺し網漁だよ」
「刺し網漁」とは、平面の網を魚の居場所に仕掛けて魚が絡まり獲れる漁法でバレーボールのネットのようなイメージです。
ついでにひとつひとつ魚の名前を聞いて見るとイシモチ、ドンコ、赤ベロなどの名前を教えて頂きました。
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赤ベロなんてほんとに舌(ベロ)のようです。

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 この日の水揚げで一番獲れていた魚はカレイやひらめでした。たくさん並べられた水槽の中にそれぞれ上下重なり合っていています。中でも60cmを超えているような大きなものに目を奪われます。
「大きい!」
仙台湾や松島湾などの比較的浅いところの砂地は、カレイやひらめが成育する環境が整っていて条件が良いようです。宮城県では子持ちの「なめたガレイ」を煮付けて正月に食べる風習があり、正月料理には欠かせない魚として有名です。そのため、12月になると「なめたガレイ」は正月が近づくにつれ価格が上昇し、普段の倍以上になったりします。
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 「この時期のカレイはね、刺身が美味しいよ。」
 「どうしてですか?」
 「冬になると卵をもってしまうからね。今の頃が身は厚くて美味しいんだ」
新鮮なものは美味しいということは当然ながら、一番の美味しい時期があるものだなぁと感心。
まだ、せりまで時間もあり、近くの方がさらに教えてくれました。

 「この魚は、ウン万円/キロの値がつくこともある高級魚だ!」
 「ハダガレイって言う名前なんだ」  
調べると「ハダガレイ」は地方名でよく知られている名前は「ホシガレイ」でした。
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種類ごとや大きさごとに分けられてせりが始まりました。午後2時になるとせりが始まり、これらが次から次へと競り落とされていきます。
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せり落とされた魚は、水槽が積まれた生鮮魚を運べる特別なトラックに移されていました。
ここで競り落とされた魚はほとんどが県内で消費されているとのこと。獲れたての新鮮な魚を食べて「美味しい!」と顔をほころばしているのが想像できます。そうだ!今晩は仕事の帰りに塩釜市内のお寿司屋さんへ寄って、大好きなカレイのエンガワを浦霞(少し冷やした辛口浦霞なんかがベスト!)でゆっくり味わってみようかな。